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Rockin' on Your Door前編

kenzee「先日、ロッキング・オン・ジャパンという名の音楽雑誌を購入した」

司会者「ヘェ。またアレですか。小沢の記事とか絡みですか」

kenzee「まああの2万字インタビューは持ってるし、問題はその再掲に伴って書かれた前文なのだが。現在の小沢によって書かれた序文を要約すると16年も昔の、しかも自伝みたいなこと語ってるインタビューを再掲載するといわれても困惑する。だが、現代とはネット文化を通して一般人も自己のイメージ管理を余儀なくされる時代になった。これは16年前の、ちょっとしたスターだった自分のイメージ管理に基づくもので、真の自分の少年時代など空の色のようなものだ、ということだ。でね、フト思ったのはこのインタビューが掲載された1994年2月14日という日付だ。現在の小沢さんは「ちょっとしたスターだった私が」と語っているがどうだろう。この時点では実は「ブギーバック」すらまだ発売されていない。(1994年3月9日発売)そして「オザケン」の地位を不動のものにしたアルバム「LIFE」が発表されるのは8月31日、つまりこのインタビューの半年も後のことだ。世間的なブレイクのきっかけになったCMソング「カローラⅡに乗って」がシングル発売されたのはその年の年末である。つまり、小沢健二が世間的にいわゆる「王子様、オザケン」となるのはこのインタビューの1年ぐらいあとのことなのだ。このように小沢氏自身でも当時の記憶は曖昧になっているようだ。実際にはこの時点でこんなに盛り上がっているのはロキノンぐらいだったのである。ただ、たとえば紅白歌手「オザケン」となってしまった1年後にこのようなインタビューを行ったとしてここまで赤裸々に自身の半生を語っただろうか。そういう意味でタイミング的にロキノンGJな企画であった」

司会者「エ! おわり?」

kenzee「ウーンだって昔ソレ読んだし。で、パラパラ他のページをめくっているうちに大変なことに気付いたのだ」

司会者「ハア」

kenzee「よく考えたらボク、ロキノンジャパン買うのなんて多分10年ぶりぐらいなんですよ。冗談抜きで。そしたらしゃー。知らない若いバンドがいっぱい載ってるのね」

司会者「全然わかりませんか? まさか、小沢とPerfumeしかわからない…?」

kenzee「かなりそんな感じです。サニーデイ載っててホっとしているオレがいる。オレ元CD屋なんだけど……。当時音楽雑誌に載るバンドの代表曲とメーカー名ぐらい全部セットで頭入ってたんだけど。じゃないと去年やった「自分探しとJポップ」みたいな記事書けませんって。で、ふてくされてばかりの20代を過ぎ分別もついて歳をとり、」

司会者「別に分別はついてないじゃない」

kenzee「気が付いたらイマドキのロックンロールのことがなんにもわからなくなっていたのでした。で、今はいい時代でインターネットとかなんとかチューブとかあって手軽にいろんな音源に触れることができるワケじゃないですか。そして今の若いバンドマンたちがどんな音楽をやっているのかとても興味がわくじゃないですか! そこでこのロキノンジャパン5月号に掲載されているバンドからいくつかピックアップして鑑賞してみようという企画なのです」

司会者「もう早く小沢の話片付けろよう。っていうかオヤジがわかりもしない若手バンド聴いてブースカ言うとか最悪の構図でっせ。ロック版石原慎太郎じゃないですかソレ」

kenzee「イヤ謙虚に聴きますって。大体ロキノンさんが紹介してるバンドでそんなヘンなのいるワケないじゃないですか。というわけで最初に取り上げるのはバーン! 表紙を飾る9mm Parabellum Bullet(なんて読むんですか?)。アルバム「Revolutionary」発売に合わせた前パブ特集のようです」

司会者「レ、Revolutionary……」

kenzee「猪木似のボーカルの人、メチャカッコイイです」

司会者「女子高生とかキャーキャー言うてるんでしょうねえ。ロックの顔ですわ」

kenzee「ボク女子高生やったらおっかけやってるかもしれません。地方のホテルまで追いかけていってですね。でも多分ちゃんとした彼女がいて、ウーン気が付いたら右のボヤーンとしたドラムの彼でももうエエわあ、みたいな」

司会者「なんの話だよ!音の話しろよ!」

kenzee「聴く前の予想。(写真を見ながら)ウーン結構ストレートなロックですよ。ストリートスライダースみたいな感じじゃないかな? それでは聴いてみよう「Supernova」!

                「Supernova」試聴中

司会者「ア、ホントにストレートなロックですね。ブレイク直前の頃のルナシーみたいな」

kenzee「ドラム、ベース、ギター×2、というシンプルなフォーリズムによるアンサンブルだ。特徴的なのはこういう編成だと普通片方のギターはコード弾き主体になりそうなもんだけどあんまりコードをジャーンて弾かないのねこのバンド。リフ主体で組み立てていく感じだね。コード弾きはここぞという時に控えめに鳴らされるのだ。あとシンセとかの被せがまったくなくこのフォーリズムだけで音場が埋まってるのも好ましいね。ヒップホップだエレクトロだと理屈っぽい時代にこんなストレートな8ビートで勝負する若いバンドがいるなんて頼もしいね。もっと聴こう。これは「Revilutionary」先行シングルだね。「命のゼンマイ」!

              「命のゼンマイ」試聴中

kenzee「なんと! ワルツですよ!」

司会者「ワルツ」

kenzee「こんなラウドロックなのにワルツ。これは意欲的な楽曲だ。こういう音楽的な挑戦があると嬉しくなるね。ワルツでも編成は変わらずいつもの9mm Parabellum Bulletサウンドなのだ。ドラムの彼、モノスゴイ手数の多いドラミングだがちゃんとリズムキープしている。いやあ、なんでも聴いてみんとわからんもんやねえ。というワケでニューアルバム「Revolutionary」は4月21日発売だぜ! 次はAsian Kung-Fu Generation!」

司会者「アジカン知らないですか?」

kenzee「名前は聞いたことあるけど。(写真を見る)バンド名からもっと怖い感じなのかと思ったらみんなユニクロで買ったみたいな服着てる普通の感じやね」

司会者「結構古いバンドですよ。もうメンバー30過ぎてるんじゃないかなあ」

kenzee「写真の感じだと鬱屈したミスチルとかオアシスみたいな感じかな? じゃあ聴いてみます。「脈打つ生命」

              「脈打つ生命」試聴中

kenzee「年季の入ったストレートなロックンロールだね。ピクシーズとかUSのオルタナバンドの影響が濃いようだね。いかにもタワーがプッシュしそうなストレートな轟音ギターサウンドだ。これは津村記久子さんが好きそうな音ですよ。轟音オルタナギターという」

              「エントランス」試聴中

司会者「ボーカルの人、今年34歳だって」

kenzee「みんな30代なのかな。心強いね。こういうギターロックってだんだん飽きてきて「ファンクやりたい」とかいうメンバーがでてきて空中分解するパターンがあるけどこのまま40まで突っ走ったらカッコイイよね。ドンドン行きますよ。次はplentyだ! (写真を見る)これは……。文科系だね」

司会者「憂鬱そうな男子3人組です」

kenzee「…最近のバンドはアレかね? 服装とかあんまり考えないの? 彼らもまたスーパーで買ってきたみたいな服装だが」

司会者「そういえば9mmも音はあんなにラウドなのに服は普通だな」

kenzee「渋谷系育ちのボクには大きな変化に見えるのだがロキノン的には別に、なのかな。それでは音のほうに行こう。「東京」

             「東京」試聴中

kenzee「……」

司会者「文系ロックですね。鬱屈した若者の日常を3ピースのサウンドで表現しています。元々文芸誌についてのブログのウチラ寄りじゃないですか。彼ら」

                          「ボクのために歌う吟」試聴中

kenzee「2010年のバンドって感じがしない。彼らには悪い意味での90年代性を感じるね。つまり「エヴァ」以降の文脈なのだ。ポスト95年。オウムと阪神大震災とエヴァ以降のロックに特徴的なのは音楽的教養をそれほど問われなくなったってことだね。たとえばさっきのアジカンなど「USオルタナだね」で音楽的説明は片付いてしまう。でも、以前のたとえばフリッパーズなんかあんなに説明が難しいバンドだったんだよ? plentyが95年デビューだったら新鮮だったかもしれない。だが、iPodや配信の時代を経た2010年に「自意識」を売りにするのはムリがある。「情報の時代」とはつまり音楽が「カタログ化」する時代と訳すことができよう。そんな時に彼らの打ち出しはロックとしての訴求性に欠ける」

司会者「オヤジもたまに批判しますな」

kenzee「ジャンジャン次に行きます。毛皮のマリーズ。(モノクロの写真を見ながら)これは……。この一冊のなかでも異色な感じがしますね。60年代新宿文化的な」

司会者「全員皮ジャン着用です」

kenzee「ジャックスとか若松孝二とか頭脳警察とかフラワートラベリンバンドとかそっち系かなあ。ギターのインプロヴィゼーションがエンエン続く的な面倒な感じかなあ。ヒッピー文化系とかダメなんだよ。昔の曽我部さんもキッツかったもん」

司会者「見た目はそんな感じですね。ゴールデン街的な」

kenzee「では音いってみましょう。「ボニーとクライドは今夜も夢中」

             「ボニーとクライドは今夜も夢中」試聴中

kenzee「ア、こういうこと!」

司会者「なるほど! グラムロックですか!」

kenzee「これなら安心して聴けるなあ」

           「恋をこえろ」試聴中

kenzee「いいバンドだにゃあ! ヤケクソですよ! ハイハット開きっぱなしですよ」

司会者「まさにガレージバンド!」

kenzee「つーかこのベースの女の子、ブンブンゆうてますよ。スゴイグルーヴです。ガレージバンドの女の子のベースって時々スゴイ人いますからね。昔、GOGO7188ってバンドいたけどベースの人スゴイグルーヴマスターだったよ」

司会者「あんなに騒いどいてエンディングでハードデイズナイトのアルペジオとかワリと芸が細かい」

kenzee「これはいいバンド。2010年にでてくる必然性ゼロのオールタイムな感じが最高!」

           「LOVE DOGS」試聴中

kenzee「おお! 女の子のベース炸裂だ!」

司会者「名前調べろよ! 目の前にブラウザ開いてるんだから!」

kenzee「栗本ヒロコさんとおっしゃるんだそうです。スゲー、ゴールデンカップスみたいな音だ~。

毛皮のマリーズはインタビューも最高なんです。

 高1の時、高校辞めますよね。それもまあ、思いつきみたいなもんなんですよ。「明日退学届だしてきたら面白いかな、みんな」と思って。辞めて、美輪明宏さんの「紫の履歴書」を読むんですよ。で、それ読んだ日に東京に行くんですけども。ギターと、そん時のバイトのお給料、7万円ぐらい残ってたんですよ。7万円とギターとパンツ1枚だけとりあえず買って。(中略)僕はいつもロックンロールはこの世の中で一番機能的な宗教だって言うんですけど。(中略)やっぱりホテルの窓からテレビを投げないといけないし、ロールスロイスを買えたならば1回はプールに突っ込まないと申し訳立たないっすよね。(志摩遼平)

司会者「最高だ!」

kenzee「でもやたら年季の入った音だけども。彼ら4月21日発売のアルバム「毛皮のマリーズ」がメジャーデビューアルバムなんだよね! フツーにアルバム聴きたいです! これからが楽しみだにゃあ!」

司会者「ロキノンさんはやっぱりいい音楽を紹介してくれてるなあ」

kenzee「よーしドンドン行くゾ! 次は世界の終わりだ!」

司会者「バンド名ですかソレ」

kenzee「(写真を見ながら)ハ! ナゼ、ニューロティカのアツシさんがこんなところに?」

司会者「違うわ! あの人はメイク! この人はお面やがナ!」

kenzee「ていうかねえ、なんでまたフダン着なのよ。ロキノンナメられてないかオイ。毛皮のマリーズを見習えよ。写真の角度まで指定ですよ彼ら」

司会者「音いきますよ、音」

             「幻の命」試聴中

kenzee「このピアノの女の人、ちゃんとバイエルとか習ったと見た!」

司会者「エ、そんなとこに注目?」

kenzee「80年代以降、ロックのピアノ、まあDX-7とか含め、ポピュラーピアノとはワリと低いところでブロックコードをガシガシ弾くものと相場が決まっている。今でもたとえばクラムボンの原田さんがそうだ。矢野顕子もそうだ。ヘンな話、大江千里とかそうだ。だが、クラシックを通ってる人、
坂本龍一などはやっぱり高いところへいくのだ。そこでこの世界の終わりの女の子だが、」

司会者「だから名前調べろよ!」

kenzee「藤崎彩織さんですね。美少女ゲームの恋人キャラのような名前だ。彼女はおそらくクラシックピアノをちゃんとやってきた人なんじゃないかな。一見単純なことしかしてないように聴こえるがよく練られたピアノアレンジだ。途中のARPっぽいシンセソロも弾きまくらないところがいい」

司会者「でも、曲は藤崎さんじゃなくてボーカルの深瀬慧さんの手によるそうです」

kenzee「藤崎さんのアレンジ力に期待だ。後半、気がついたらピアノ、ARPらしきシンセ、さらにオルガンまで重ねてくるがちゃんと歌に奉仕した組み立てになっている」

司会者「まだいきますか」

kenzee「もうちょっといきたいな。今回は前編ということで。次回後編いきますよ」

司会者「一応予告しておきましょうか」

kenzee「エート、怒髪天!」

司会者「それはさすがに知ってるだろう!」

kenzee「これはドギモ抜かれたよUnion Square Garden。あとSchool Food Punishment。flumpool、The Bawdies。その他、You Tubeに音だけでも転がってたら批評しちゃうよ!」

司会者「早く小沢に戻って、そして文芸評論に戻ろう!(願)」

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コメント

あれは「ナインミリメーター・パラベラム・ブレット」と読むのですよ(゚∀´*)b

投稿: stonedlove | 2010年4月 5日 (月) 19時13分

なんでそんなん知ってるんスか!
エ! もしかしてみんな知ってる?
オレだけ?9ミリパラ…なんとかトカ言って
んの。
もう「フリッパーズのギターです」でオナジミの坂東英二を笑えない…

投稿: kenzee | 2010年4月 5日 (月) 22時17分

9mm parabellum bullet(読み方…まぁいいか笑)曲は好きだけど歌詞がなぁ…といつも思います。作詞はボーカルの彼ですがウィキペディアによると村上春樹や太宰治が好きらしい。
若手バンド等の歌詞についても軽くでいいからkenzeeさんの批評聞いてみたいなぁ…文学の話も早く聞きたいなぁ…
今日BSでやってた週刊ブックレビューに楊逸が出てて「あ、彼女がヤンイーか」とか思ったり、こんな番組見ること自体このブログのおかげですからねぇ。
…と、またしても催促みたいに…笑
まぁ楊逸の小説も読んでない私のたわごとは聞き流してください。ではまた。

投稿: 一読者 | 2010年4月10日 (土) 17時50分

歌詞はねえ。ヒドイことになってますな。いや90年代のアベレージが高すぎたのかなあ。小沢と奥田民生が93年。中村一義にブランキーにスピッツにスガシカオ、椎名林檎、宇多田まで登場しますからね。若いバンドマンよ、もっと本を読めという感じかしら。もしかして言葉のセンスのある子はみんなラップのほうにいっちゃったのかなあ。

投稿: kenzee | 2010年4月10日 (土) 21時53分

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