読者の皆様へ(このたびの震災に遭われた方々によせて)
3月11日に発生しました東日本大地震は幅広い範囲で多大な被害をもたらしました。心よりお見舞い申し上げます。
当ブログ「文芸誌をナナメに読むブログ(書評)」もスタートから5年を数え、ログをたどると全国から閲覧に来られていることがわかります。東京を始め、東北地方からアクセスされる方も大勢おられます。私自身は関西からほとんど出たことのない田舎者なのですが、ネットを通じて全国、いや世界に、自分の拙い考えを発表することができています。ひとえに安定したネット環境のおかげでありまして、平穏無事な生活あってのブログです。このたびの震災によってネット環境どころか生活の基盤すら失われ、不自由な生活を強いられている方々の状況を考えると、また家族や友人を失った方々、亡くなった方々の無念を思うと言葉を失ってしまいます。私は関西人なので直接、東北地方の知り合いはおらないのですが、考えてみると「日本語ラップ論」のときにコメントをいただいた佐々木寛太郎さんは確か仙台在住の方ではなかったか。また、文學界新人賞作家木村紅美さんのご実家が岩手県盛岡市であったはずで、やはり自分に繋がるどこかに被災されている方がいるのではないかと思われます。
あの震災からはや、二週間以上が経過しようとしていますが、未だ復興の兆しどころか被害の全体像も把握されていない状況です。日々、被災者、避難者、そして死者の数が増えていくのを私には眺めていることしかできません。また福島の原発事故の状況はまったく予断を許さない状況です。このような困難な状況のなかで、出版業界、音楽産業をはじめとするエンターテインメント産業は大変な危機に直面していると聞きます。幸い、私の仕事は直接、震災の影響を受ける業態ではないため、変わらぬ日常をおくることができています。
この二週間、この未曾有の災害について自分なりに考えていたのですが、わかったことは結局我々は……すくなくとも私はどうしようもなく無力だということです。批判を承知で言いますが、このような事態に対し、ブログやツイッターやネット文化は完全に無力です。気休めにしかなりません。結局、我々は、役に立たない代わりに目の前の自分の仕事をこなすしかないのだと思います。文字通りの「仕事」です。時間通りに出勤して、PCを立ち上げて、取り掛かるいつもの業務のことです。他に大したことはなにもできないです。たぶん誰も。今ある仕事において最善を尽くすことが、ひいては復興の近道なのかも知れません。困難な状況のなか、懸命の作業を続けておられる自治体、役場の方、自衛隊の人々に最大のリスペクトを。被災地と被災された方々の、一日も早い回復を祈ります。
やりかけのテーマ「あさま山荘事件とショッピングモーライゼーション」ですが、山岳ベース編に取り掛かる予定でしたがこのような大災害を前にしては気分的に中断せざるをえませんでした。ある程度アウトラインはできていたのですが、最終的に「たくさんの若者が命を落とした」というセンセーショナルを軸に進んでいく展開になっており、このセンセーショナリズムに頼るやりかたではとても今、現在起こっている現実に太刀打ちできないと思いました。「たくさん人が死んだ」という事実に頼っていてはまったく批評として力を持たない、ということに今度の災害で気付かされました。というわけで「山岳ベース編」のアイデアはいったん白紙に戻さざるをえませんでした。しかし、連合赤軍事件は必ず決着をつけたいと考えています。しかし、未だ現在の状況はこのブログの、低俗なコント調の文章とは相容れない状態です。そう遠くない然るべき時期が来ましたら、山岳ベース編として再開します。
被災地の方々の一日も早い復興を願って。
kenzee
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コメント
盛岡の実家は無事だったのですが、よくニュースに出てくる陸前高田や何度か海水浴で宿泊した山田町には両親の知りあいで私の馴染みのある人も住んでらっしゃるし(奇跡的に、全員、無事でした)
「海行き」や「イギリス海岸」の舞台として出した宮古も、大変なことになりました。行ったことのあるお店が全壊したり・・・
私は小六の後半から高校卒業までを仙台市で過ごしたもので、地元にいる友人たちがやはり被災しています。幸い、つきあいのある人たちは無事がわかりましたが、見慣れた風景が一変して、住んでた区でも亡くなった人がおられるようだし、いつになったらショックから抜け出せるのか、、、が、
地震発生の三日後が、来月ひさしぶりに『文學界』に掲載される新作(130枚)の直しの締切だったもので、ひえーぎょえーと極度に混乱しながらもどうにか仕事を続け、締切もちゃんと守りました。そのあいだだけはとりあえず冷静でいられた。
仕事があってよかったと思いました。
投稿: 集英社から新刊でました | 2011年3月29日 (火) 16時17分
とにかく無事でなによりです。
フダン、こういうマジメな記事は書かないのをモットーとしているのですが、徹頭徹尾キチガイと思われるのが理想なのですが、このたびの震災はやはりなにか言わないではいられません。イギリス海岸の最後の章でとても美しい岩手の海岸の描写があったように思いますが、あの風景も変わってしまったのか。関西ではコンビニとかの電気こそ消えているものの普通の日常がダラダラと続いています。2リットルのペットボトルが減ったなァと思うだけで(でもお茶とかは余裕)スーパーもガソリンスタンドも普通。でも雰囲気自粛モード的なものはありますね。被災された方々はもちろんですがエンタメ産業に従事している人も大変だと思います。できることを粛々とやるしかない、と、できることしかできないなとつくづく思います。
というわけで黒うさぎたちのソウルと講談社 のヤツをやらないとって今年は二冊も単著が!
投稿: kenzee | 2011年3月29日 (火) 23時30分
>美しい岩手の海岸
浄土ヶ浜ですね。木はなぎ倒され、浜辺はがれきだらけになってしまいました
文學界の新作は新境地をひらいてると思います
投稿: 集英社から新刊でました | 2011年3月30日 (水) 02時02分
前に「ネットは紙メディアあってのオルタナ」という内容を書いておられましたがほんとにそのことを痛感しました。
自分は九州住まいなんで、震災当日でも申し訳ないほどいつも通りだったんですがネット上での人々の右往左往っぷりとテレビを眺めるしか術のない様はインフラ断絶のあっけなさを物語っています。
ですが募金やチャリティの類いの対応の速さはネットならではの利点で、様々なアーティストがネットを通じて被災者への応援活動を起こしていましたが、それでも当事者には届きようがないのです。
そりゃ被災地の人はYouTube見るわけないし、フリーダウンロードもしようがないし、そんな情報すら知らないでしょう。みんな欲しがるのはラジオと新聞という。
投稿: 紅 | 2011年4月 2日 (土) 00時24分
ネットが凄いのは情報が拡散するスピードが速いということで今回もやはりかなりのデマが出回りましたが、それを回収するスピードもムチャクチャ速いということです。たとえば阪神大震災の有名なデマで「レイプが多発した」というものがあります。ネットやツイッターのない時代にはこういうデマを回収するのはすごく時間がかかるんですね。このレイプ話は松本人志の「シネマ坊主」という本のなかでもまことしやかに語られてるんですがデマです。デマはどんなに文明が発達しても止めることはできないでしょうが、素早く情報が整理されたのは今回のツイッターの優れた点だったと思います。でも速いっていうことは飽きるのも早いということですでに当初の「ネットで支援しようぜ!」という熱気は拡散してしまったと思うんですね。結局「今度の学園祭盛り上げようぜ」ぐらいのインセンティブしかなかったというか。災害って全然違う次元のものですからね。そういえばボクは学園祭がキライなのだった。
投稿: kenzee | 2011年4月 2日 (土) 19時18分
ソウルフラワー震災基金の賛同人になりましたので、アドレス(URL)にホームページを挙げておきます。くるりの岸田くんや友部正人さんの名前も。
投稿: 集英社から新刊でました | 2011年4月 4日 (月) 13時36分
ありがとうございます。さっそく募金させていただきます。阪神大震災の時、よく関西ローカルのニュースでもモノノケサミットの活動が紹介されてましたが、もう16年も前なのだ…。
投稿: kenzee | 2011年4月 4日 (月) 20時38分
さっそく募金>
おっありがとうございます。
ところで今日は下北沢でモノクローム・セットのライヴを観てきました。フリッパーズ・ギター編集のコンピ『ファブ・ギア』で知ってからもう二十年くらい経つのか・・・当時私は仙台で高校生でしたよ。
ライヴ初めて観ましたが、なつかしい曲も沢山やってくれて、とてもかっこよかったです。
本当は昨年秋に来日予定だったのが、ボーカルのビドが病気で。延期になった日にちは、こんどは、地震続きに放射能・・・
でも、ちゃんと来てくれました。しあわせな気持ちになりました。
投稿: 文學界に新作掲載中 | 2011年4月10日 (日) 01時24分
モノクロームセットて現役だったんスか! 私もファブギアを聴いてあわててベスト盤ウエストミンスターアフェアを買ったのだった。で、Jet Set Juntaとかにガツンとやられたのだった。解説はサロンミュージックの竹中仁見さんなのだった。しかしサロンの再発は95年ぐらいまででなかったのでずーっとギターポップみたいな音楽なのかと思っていた。実際にはテクノポップ寄りだった。今思えばXTCもムーンライダースも知らずにモノクロばっかり聴くのもヘンな話で。今は動いてるモノクロとかサロンすらYou Tubeで観れてしまう世の中で。そのかわりレコ屋は世の中から消えてしまった。小沢健二2005年のインストアルバム毎日の環境学にJet Set Juntaという曲が入っていてナゼかホッとしたのだった。
投稿: kenzee | 2011年4月10日 (日) 19時13分