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週末が怖い…(ブログっぽく最近読んだ本の話。aikoはお休み)

kenzee「最近読んだフォン」

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・宇野常寛「日本文化の論点」(ちくま新書)

kenzee「日本文化って言うからてっきり歌舞伎とか人形浄瑠璃とか都々逸の話でもはじめるのかなと思っていたらガンダムとか特撮博物館とかAKBの話だったといういつもの宇野さんの話だ。まず、従来の文化消費、たとえばプロ野球なんかは消費の主体がサラリーマンで奥さんが専業主婦で子供が二人ぐらいいて、郊外に家があって、都心から1時間以上かけて通勤するみたいな生活モデルとか人生モデルに最適化されたものだった。しかし、そのような人生モデルはとうに崩壊していて、文化の消費の仕方も変化している。新しい消費とはコンテンツ→消費者といった、一方向のものではなくてコミュニケーションそのものなのだ、という話。これからの文化消費は地理に規定されないし、コンテンツや一次創作者のコンテンツに規定されない、ニコ動的なコミュニケーション、ゲームみたいなものだ、という話。で、最後はAKBの話で終わる。坊主事件にも触れている。宇野さんってもっとイケイケの人かと思ってたら「坊主事件は辛い。恋愛ルールを明文化すべきだ」とか普通のこと言っててズっこける。でも「ゼロ年代の想像力」の頃みたいな優等生的にツッコみまくるシンドイ人ではなくなってきたね。仕事でふだんよく会うAKBのメンバーにわざわざ金払って握手会行って握手する話とか「もしかして漢?」なエピソードも楽しい。でも、「音楽って~」って話してる時に「結局、これからはコミュニケーション、コンテンツレベルじゃなくてアーキテクチャでもの考えないと批評にならないよネ!」とかで話終わらすヤツがいたら腹立つと思うな。コレ、読み物だから面白く読めるけど宇野さんの口真似をリアルでして嫌われ者になる学生とか続出しそうで怖い」

・円堂都司昭「ソーシャル化する音楽」(青土社)

kenzee「ここ10年の音楽を巡る環境と受容の変容を考えるうえで格好のテキスト。iPod以降の音楽の変化。You Tube、ニコ動の登場。AKB、初音ミク、リマスター盤に代表されるCDの高音質化。フェスの変容。定額サブスクリプションサービスの上陸……。これ一冊でイマドキの音楽の問題はだいたいわかる。音楽とはソーシャルを通じて参加する余地が増大した。かつてはカラオケぐらいしか自己表現の余地が残されていなかった音楽だが、DTMの進化、ボーカロイドの登場、マッシュアップ、ソーシャルメディア、フェスにおけるモッシュ、同人音楽の隆盛。あるいは握手会や総選挙の投票。歌が下手でも、楽器が弾けなくても音楽カルチャーに参加し、楽しむことができる。なにしろ音楽というコンテンツ自体はもはや「偏在」しているのだから。…これはリサーチもかなりしっかりされてる、良書ですよ。順当な話で批判のしようもない、というタイプの本だけど。イッコ、これに書かれてない話で前から気になってたことがあって、いっとき、佐久間正英さんがブログで「音楽業界に金が回らないと音楽の質が低下する、ヤバイよ」って話してネットの嫌儲の人たちからボコボコに炎上される事件があったじゃないですか。あの中の佐久間さんの話のなかでずーっと気になってるのは「昔から音楽をタダ、もしくは廉価で手に入れる方法はあって、それはエアチェックだったり、レンタルだったりした。今は違法ダウンロードになった。そこでだ、合法ダウンロードも含めてなんだけど昔はエアチェックにしろレンタルにしろ、録音してる間も音楽を聴いてたじゃない? でもダウンロードしてる数十秒の間ってのは音楽聴けないんだよね。これは結構マヌケな時間で重要な問題だ」みたいなことをおっしゃっていて。もちろん「プッ。数十秒ぐらい我慢しろよ」みたいな煽りがやってくるのだが、コレ、CDのリッピングにも同じことが言えて、ボク、10枚ぐらいいっぺんにCDリッピングするんですよ。で、曲のタイトルとか自分で打ち込まないと気がすまないのね。gracenoteとかで自動入力されるデータが全角だったりすると発狂するのだ。あと、タイアップ情報とか削除しないと気がすまないし。そしてジャケ画像探して貼りつけたりしてたらあっという間に3,4時間過ぎてたりするからね。イヤホント、リッピングって時間かかるのよ」

司会者「そんなの本とか読みながらコーヒーとか飲みながらやればいいじゃん」

kenzee「その辛さも含めてリッピング作業楽しいんだけどね。無論、iTunesだ、サブスクリプションだと言ったところでaikoのようにそもそも配信の許可をだしていないアーティストもいるのでネットは万能ではないね。ここにはなにか、失われたものがある気がするのだ」

・二木信「しくじるなよ、ルーディ」(ele-king books)

kenzee「81年生まれの若手音楽ライターによる初の単著。主にアンダーグラウンドのヒップホップを取り上げる。2003年以降の拡散したヒップホップシーンのある一面のドキュメントとなっている。シーダ、シンゴ西成、田我流といったミュージシャンのインタビューとデモで逮捕された話など、エッセイプラスインタビュー集という構成。基本、ロキノン以来の人に迫るタイプの音楽批評。この手の音楽ライターにアリガチな「オレ、社会の底辺の弱者の奏でるホンモノのアート知ってるんで、ヨロシク(キリッ)」的な面倒くさい左翼感のない、憎めない人物なのだ。二木さんは。逮捕の話も「くだらねえ官憲の犬どもめ、オレの信念は曲げないゼ」みたいな中二病的自慢話がでてくるかと思えば「5つ上の兄貴にメチャ怒られました、ゴメン」とか「カツ丼でなかった」とかどこかのんきな、愛すべきキャラなのだ。だが、気になる箇所もある。2010年の沖縄の辺野古のピース・ミュージック・フェスの取材もされている。この記事のなかで「残念な話、未だに「音楽と政治を結びつけるな」という野暮な難癖をつけてくる心の狭い音楽リスナーに対しては「どーも、すいません!俺は音楽オタクじゃないんでね!」と仕方なく答えるようにしている」という箇所がある。その路線でいくなら「音楽とは政治的な側面がある、つまり…」というようなロジックを組んでおかないと先々シンドくなるだろう。「政治とかよくわかんねーけど、マジ、最高の瞬間あったゼ!音楽って素晴らしいね!」ではこのジャーナリズムは素人のツイッターに負けてしまう。批評とは残念なことにもはや、ゲームである。「純真な心があるので、真のアートがわかります」という素朴な論理は少なくともネットでは格好の標的にされてしまう。しかし付録の「日本のヒップホップ2000→2012」の、アンダーグラウンドに偏らない、耳の広さには期待してしまう。この並びでKREVAやキングギドラやDABOといったこの界隈ではあえて避けそうなメジャータイトルが並んでいるところがガイドとしても有用」

80年代悪趣味ビデオ学入門(洋泉社)

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kenzee「昔、今ほどツタヤが世界を席捲していなかったのどかな時代。どこの街にも個人経営のレンタルビデオ屋があった。どこのビデオ屋も会員にならないと借りれないので地元の人間しか用のない場所ではあるのだが、ボクは旅行に行った先などでも未だに個人経営のくたびれた感じのビデオ屋があると入ってしまう。80年代からやっているビデオ屋などはある種の博物館的な匂いすらある。そういうビデオ屋には「ナニコレ?」なホラービデオがよく転がっていた。「ゴースト・イン・京都」みたいな。野球の雨傘番組でしか観たことのないカンフー映画とか。そんななかに今はもう観れない「おニャン子・ザ・ムービー危機一髪」とか転がってて、超観てえ!みたいな。そんなナゾビデオが昔はいっぱいありました。中原昌也さんの「別にコレ、俺こんなヘンな映画知ってるぜ!自慢じゃなくて、こんな映画があったということすら誰の記憶にも残らないかもしれないことが怖い。世の中からどんどん選択肢がなくなって未知のものを知る機会が減っている。それが怖い」という発言は重い。ボクもつい最近、ツタヤで、昔観た邦画のほとんどが棚に並んでない! 韓流テメー!と思ったことがあるのでよくわかります」

・中島らも「バンド・オブ・ザ・ナイト」(講談社文庫)

kenzee「ブックオフの100円コーナーでなんとなく見つけて買った。中島らも氏の大学卒業~就職するも4年後に退職~フーテン生活でムチャクチャな生活を経て、コピーライターで成功するまでの青春記。読み出したらとまらなくなった。基本、酒飲んでるかラリってるかのデタラメ生活。時は1980年。もうフーテンもヒッピーもドロップアウトもダサい時代。そんな時代に逆行し、酩酊していた日々。ボクは自伝的青春小説というものに弱いのだがこれは泣ける。最初の就職で大変な目に遭うところとか今の若者が読んでも面白いだろう」

司会者「aikoは?」

kenzee「今週、一回休みあるじゃないですかあ。そこで続きいきますんで。つーか、だんだん週末が憂鬱になってきて…。たまにはこういうブログっぽいのも…」

司会者「もう後半巻いてもいいんじゃないか?」

kenzee「もっとバーっとやるつもりだったんだけど。「彼女」後半は水曜日更新です」





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コメント

aikoはお休み。後半は水曜日。だけ読みました(ごめんなさい。もちろん、ちゃんと読みますよ!)
取り急ぎの、エール(という名の圧力ですよ。嘘)です。
やっぱり大変ですよねー。ほんとに一週位、飛ばしてもいいのでは?と思います。うまくリフレッシュしてくださいね。

投稿: ほし | 2013年3月18日 (月) 03時20分

ユーミンさんも以前ひこうき雲のマスターテープを聴く番組で、
いまの子は(スタジオが)マンションの一室だからかわいそうみたいなことを言ってたような。
フュージョン系のレコーディングを知っている人にとってはそう見えるみたいですね。
どっちがよくてどっちがダメという話ではないのですが
選択肢が少なくなるのはいいことではないと思います。

投稿: 紅 | 2013年3月19日 (火) 20時27分

そういや最近、ヘッドアレンジって言葉も廃ってきましたな。スタジオでエンエンセッションしながら形づくっていくという。今はデモ段階でかなり完パケに近いものができるのでプレイヤーはその通りに演奏してオーケーみたいな感じ。今のJ-POPのイメージって一人の人間の頭の中で完結する世界なんですよ。そのやり方だとじゃがたらのような集団でワーッといく、集団グルーヴの音楽はなかなかでてこない。つまりDTMの時代ってことなんだけど「けいおん!」のようにバンドという形態だけは生き残るという不思議。

投稿: kenzee | 2013年3月20日 (水) 00時02分

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