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aikoマラソン12「キラキラ」のようなグルーヴは簡単にはでない(7thアルバム「彼女」後編)

kenzee「前回のやる気のない記事のアクセス数がボッコーンとハネ上がっているので何事かと思ったら17万フォロワーを持つ佐々木俊尚さんがツイートしていたのだった。

大変ありがたいのだが、前回の記事はここ数カ月でもっとも手抜きのボヤき記事なのだ。初期のaiko記事を100とするなら0.2ペソぐらいの力の記事だ。こういう、人が気を抜いたスキに襲撃するのが佐々木さんなのである」

司会者「スキをつかれたね」

kenzee「初期のaiko記事なんて、「三文音楽ライターどもに挑戦状叩きつけたるー!」ぐらいの気合で望んでいたのに、そういうのはスルーなのだ」

司会者「そんな肩に力入ってるヤツに声かけたらメンドウだもん」

kenzee「で、ハ~最近aikoにも疲れてきたニャーなどとボヤいた瞬間、17万フォロワーにツイート! きっと皆さんドレドレと覗いてみたら、真剣な音楽の話してるかと思いきや、「昔の地方のビデオ屋は面白かったニャー、時代劇のコーナーに「バカ殿」が挟まってたり」みたいなヌルい話しかしてないじゃないか!と意識高そうな佐々木フォロワーは怒っているかもしれない。しかし、これが佐々木俊尚さんなのだ。まるで黒澤明「七人の侍」における、菊千代のような寝首のかき方!(注…七人の侍後半で、三船敏郎演じる八方破りキャラの菊千代が敵の野武士の陣地に紛れ込む。すると末端の野武士たちがボヤいてるのだった。「ハ~農民襲うのも最近飽きてきたニャー」とか言って気ィ抜いてるスキを狙って襲撃、というシーンを想起している)まんまと殺られた。気を抜いたオレの負けだ。結構、今まで手間のかかった記事を書いてきたつもりだった。とくにaiko記事は手間がかかっている。まず、一回通して聴いて、次、コードを耳コピするために断片的に聴いて、最後、歌詞を読みながら聴く。と最低3,4回聴くのだ。ちなみに耳コピするときのお供はこのクルクル巻いて持ち運べるスクロールピアノだ。

Dsc_0227

(クルクル巻けマス!超弾きにくいヨ!)

どうせコードしか取らないからこれでいいのだ。このように結構手間ヒマかけてやっていても一瞬のスキをついて2000人もの人々に「なんだよ、おニャン子ザムービーの話かよ」と残念がられたりする。これは「真剣な企画の途中で気を抜くな」という佐々木さんの教えなのか」

司会者「ホントは感謝してますからね! 佐々木さん!」

kenzee「そんな教訓を胸に「彼女」の続きを行きたいと思う」

Aiko22

(これが初回ジャケかな?)

・7曲目「その目に映して」

kenzee「これは2006年にはもうaikoしか書けないだろうというメジャーセブンス系パンク。素直な曲に素直な歌詞。こういう曲をアイドルとか提供したら面白いのに。B面一曲目らしい曲。しかしこんな引っかかりのない曲ばっかりのアルバムは初めてだ」

・8曲目「ひとりよがり」

kenzee「誰もがイントロでビートルズ「ミッシェル」を思い出すであろうマイナーのミディアムバラッド。「シャッター」をはじめ、今回のアルバム、恋人だか昔の恋人だかが人生を先へ先へと歩んでゆくのに自分は未だ同じところにいるようで焦る、みたいな歌詞が見られる。確か酒井順子の「負け犬ブーム」が2004年だったと思うが、女性の晩婚の時代の空気を無意識に嗅ぎ取ったかのような世界。この、「恋人はスタスタ先へ行ってるのにオレときたら…」と焦る歌といえば初期の槇原敬之さんの楽曲で「勝利の笑顔」(アルバムにもベスト盤にも入ってない。確か「冬がはじまるよ」のB面)という佳曲がある。要は恋人は志望校に受かって夢に向かって進んでいくのにオイラは浪人で、夢に迷っている、でもとりあえずトボトボと歩き出す、という内容。で、よくできたバラードなのですよ。なんで短冊CDのB面で消えていたのか。たぶん、どんなときも。直後のあの時代は未だバブルというかリア充的な価値観で音楽商売が回っていて、人生応援歌シンガーに似合わぬ暗い歌詞、と判断されたのではないか。ウンコのような時代である。あの歌の、うらぶれた、寂しさに励まされた人もいただろうに」

・9曲目「あられ」

kenzee「70年代のユーミンさんのような、シンガーソングライター然とした1曲。もっともキャラメル・ママ感の強い1曲。こういう曲を聴くとaikoはゼロ年代のバラーディアンだ、五輪真弓、ユーミンさん、尾崎亜美といった「日本のキャロル・キング史」の系譜のあとにくる人だな、とわかる。間奏の抑えたアンサンブルの緊張感がたまらない。ここでソロをあえて入れない、と判断したアレンジャーに乾杯」

・10曲目「スター」

kenzee「もうこのアルバム、これで終わりでもよくね?と言いたくなるバラード。「あられ」の続編のような素直なラブソング。サビに向かってD→Aへとムチャな転調するが、不思議とスイーっと繋がっていく。こういう白人ぽいバラードがJ-POPからなくなって何年経つだろう」

・11曲目「恋ひ明かす」

kenzee「なんか…可もなく不可もない順当なエイトビートロック。ホント…なにも言うことないな…。決してキライじゃないし。5分ぐらいで作ったんじゃないかな」

・12曲目「雲は白リンゴは赤」

kenzee「こ、これは! Boo Radleys「Wake Up Boo!」やないかーい!

これはまさに1995年のブリット・ポップの大名曲ブーである。95年といえばコレかベンフォールズファイヴを聴いていたものだよ! aikoよ、ニクイ女である。オヤジ泣かせの…」

司会者「アンタと同世代だろ」

kenzee「ちなみにWake Up Boo!は史上もっとも気分が良くなる曲に認定されているそうだ。(ウィキ調べ)ただし、曲の凝り加減では「雲は白リンゴは赤」のほうに軍配があがる。一筆書きみたいなメロディがaikoらしい。「なーいーたー」の素っ頓狂なトーンも。しかしこんなモノスゴイ曲もっと売れんかったんかね?せめて「ボーイフレンド」ぐらいに。ていうかこんな企画しなかったらこの曲に出会えてなかったことが怖いワ。それにしても「飛行機」以来睨んでいたクリエイション好きがこれで実証されたのだった」

・13曲目「ある日のひまわり」

kenzee「ダメ押しのように登場する「アナタコンプレックス」の歌。アナタはいつも笑顔なのにアタシときたら…という曲。アメロックやね」

司会者「終わり?」

・14曲目「瞳」

kenzee「いよいよホントにこれで最後、という感じの都市のバラード。70年代のローラニーロ、バリーマンを想起する。ピアノ、絃という山下達郎「FOREVER MINE」も」

・アルバムトータルの感想

kenzee「これは大作だったね。これ出したらあと3年ぐらいサボってもいいだろうというぐらいの充実作。「シャッター」「キラキラ」「雲は白リンゴは赤」の3曲だけで2000円ぐらいの価値がある。「あられ」「瞳」のバラードも捨てがたい。しかし、こんな充実した仕事を残しているのに未だ「花火」「カブトムシ」の人というイメージが離れない。ミュージシャンにとって初期のイメージがいかに一人歩きするかという話だ。また、セカンドや夏服ほど売れなかったのもうなづける。こんないいアルバム、一般ピーポーのバカヤツラどもにはわかりまへんで。「キラキラ」の前のめりに突っ込んでくるグルーヴとか打ち込みじゃ再現できまへんで。アルバム1枚も聴くのシンドイ、という人でも「キラキラ」と「雲は白リンゴは赤」だけでも聴いてほしい。ここには世界的に絶滅したと言われるバンドアンサンブルがガラパゴス的に進化し、残っている。「キラキラ」をコピーしてもあの突き刺さるグルーヴにはならない。おそらく、こういうのをブランディングというのだ」

司会者「今までが芸人のレコードだとしたら職人のレコードみたいでしたね」

kenzee「とにかく曲でサヴァイブしてるのだ、ということを業界人は思い知っただろう。次回は2008年「秘密」だ。これも今回の続編のような職人芸のレコードなのだが、あんまりフツーにいいアルバムだとあんまりイチャモンつけようがなくなるので辛い」

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コメント

まだかなまだかなー
マナカナマナカナー
キタ───d(゚∀゚)b───!!
待ってました♪

個人的には「スター」のサビの「あーたしが射すぅー」の
「し」の音の解釈を伺いたかった
というのも、発売直後の歌番組ではそのままだったのに、
紅白歌合戦では半音上がって、その後のライブでは
また元に戻るという、珍しく二転三転していたもので…

あと、「雲は白〜」の売れ行きがよくないのは、ひとえに
アルバム先行シングルという側面があります
「えりあし」は更に、初のCCCDだったこともあって
全然売れませんでした


ちなみにその写真は通常盤です
初回盤はALOHAのイヤリング付けてるやつで、
茅ヶ崎の浜辺でやるフリーライブ告知を兼ねてたと記憶してます

長文失礼しました

投稿: 774 | 2013年3月20日 (水) 15時27分

いつも楽しく読ませて頂いています。

私はaikoのディープなファンになったのは昨年からなんですが、そのきっかけの曲の1つが「シャッター」でしたので、評価が高く嬉しい限りです。
私も当ブログに触発されて自分の好きな曲を思い返したら、既出曲で言うと「愛の病」「傷跡」「アンドロメダ」とフェイクやスキャットが抜群にハマってて、ないと成り立たない様な曲が好きなんだと気付きました。本当にaikoは味のあるフェイクをするので、私はそこに魅力を感じますね。

いやー、それにしても槇原敬之の「勝利の笑顔」が出てくるとは思いませんでした。私は初期の槇原の大ファンでしたので(今はあまり興味ないんですけど)分かりますが、似たような曲が他に多々ある中であえてその曲を選出するとは、kenzeeさん本当に引き出し多いです。

どうでもいい補足ですけど、「雲は白リンゴは赤」はaikoが兄と慕う平井堅のお気に入りの一曲らしく、どうしてベスト盤に入れなかったのかと怒っていました。「雲は白~」を入れずに「シャッター」を再録して入れるセンスが凄い。

マラソンはまだ続きますが、完走応援しています!

投稿: ヨシピコ | 2013年3月20日 (水) 19時07分

こんばんは。
こちらに書くのは初めてですが毎回楽しく拝見しています。

個人的な話ではありますが、「雲は白リンゴは赤」でaikoを知ってつい最近アルバムを聴き始めた矢先にここのブログを見つけたので今回の『彼女』の後編、特に楽しみにしていました。
「雲は白リンゴは赤」の「泣いた」はaikoのメロディの良さが凝縮されていると言っても差し支えのないものだと感じます。
本当、なぜベストに入らなかったんだ!

自分はまだ聴いたことがないのですが『秘密』も楽しみにしています!

投稿: 現代人 | 2013年3月20日 (水) 23時11分

774さん。
そんなコマカイ所まで聴いてはったらやる方も本望でしょうな! 「スター」の紅白版は知らないですけど、まとめの「ジェット」とか聞く限り、ライブを重ねてるうちに変化することはあるみたいね。全然違う話だけど、スガシカオのライブ盤聴いてたら「AFFAIR」って曲のサビが「この思いは 果てしなくふーかーい」って張るところが下に潜って歌ってて「金返せ」と思ったことはあるな。

投稿: kenzee | 2013年3月21日 (木) 01時14分

ヨシピコさん。
まとめは結構、どうでもいい曲多いですよね。ヒット曲外すなとか未発表曲ないとプロモーションが、とかベスト盤には政治的な事情は絡むのが常ですが。「シャッター」はいい曲ですね。このアルバムは同期もののパーカッションとかナシの機械のビートなしの人力ミュージックなんですよ。この機械の音楽全盛の時代に。なので発表当時は異常に生々しい音楽に聴こえたんじゃないかな。演歌ですら今は機械のビートなわけですから。ジェロとか坂本冬美とか。

投稿: kenzee | 2013年3月21日 (木) 01時24分

現代人さん。
「雲は白」はドウシテ?と言いたくなる曲です。つまり、デモ段階がどんなだったのか想像つかない。サビがスカになる展開とかホーンのフレーズとか。やっぱりアレンジャー、気心の知れたプレイヤーとの総力戦だと思うんですよ。でね、イマドキの同人音楽とか、一人の人間のイデアで作る音楽が今のトレンドなわけ。イヤ、ニコ動のああいう世界も面白いとは思うけど、総力戦の音楽はでてこんワナ。「彼女」は今までのところ、もっとも温かみのあるアルバムだと思います。70年代ならいざ知らず、2006年にこういうウォームな音楽作るのは苦労があっただろうと。2006年のJ-POPといえばプロ・トゥールズ的な、Perfume的なバキバキの音がトレンドという時代ですからね。

投稿: kenzee | 2013年3月21日 (木) 01時36分

この年の紅白は、シングルの出ていない瞳でした。
他にMステ等いくつかの番組でも歌っていたようです。

投稿: | 2013年3月21日 (木) 06時38分

いつもお疲れ様です。
私はaiko全曲ドラムカバーに挑戦しています。お見せできるほどのものじゃないのが残念ですが。ドラム的には、aikoの曲はグルーヴ重視でとてもやりがいあります。

投稿: aiko好きドラマー | 2013年3月25日 (月) 23時39分

kenzeeさん先日お伝えしたライヴDVD発売になりましたよ〜♪
Amazonとかなら少し安くなりますよ〜♪
よろしかったらどーぞ〜♪

投稿: 774 | 2013年4月 2日 (火) 22時11分

1週間空いてませんか?
次が待ち遠しいです!

投稿: | 2013年4月 3日 (水) 12時03分

エヘヘヾ(´▽`)週末には…更新…シマース。DVD…買いますけど、DVD曲全曲レビューはカンベン! あと…3枚…辛い旅だゼ…これを矢沢とかでやったら灰になれるかもね。ジョーのように。

投稿: kenzee | 2013年4月 3日 (水) 21時25分

マラソン第1回目から一気に読んじゃいました。aikoファンですおもしろい。更新楽しみにしていまーす。

投稿: | 2013年4月 6日 (土) 05時55分

あらあらkenzeeさん
もうギブアップですか??
 
更新楽しみにしています~

投稿: | 2013年4月 7日 (日) 21時48分

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