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このIT時代に脳内バックアップで復元することになるとは(aikoマラソン14、8thアルバム「秘密」中編)


kenzee「アハハ…せっかく書いたデータが消えたーアハハハ」

司会者「まだ辛うじて覚えてる間に再現しろよ」

kenzee「やっぱテキストエディタに一度下書きして、コピペが最善。いきなりココログの不安定な記事エディタに直書きしてたオレが悪い」

司会者「今までそういう事故に遭わなかったことがスゴイわ」

kenzee「必死で思い出しながら書いてマス」

ミニトークその1

kenzee「ボクはレコードジャケットがたくさん載ってるレコードガイドみたいな本が大好き。ジャンルは問わず。とにかくレコジャケならなんでも。そういう本を読みながら音楽をかけて飲んでる時が一番幸せ。最近のヒットはこの「昭和のレコードデザイン集」(P-Vine Books)。

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こんな感じの中身。

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最後のはステレオ試聴用レコード。汽車が右から左へ走り去ったり、ピンポンが左右でピンポンピンポン言うヤツとか。なかにはLRで漫才するヤツとかあったみたいね。イアヤ、昭和のレコード店へタイムスリップして行ってみたいなあ。そして久しぶりに安田謙一さんの「ピントがボケる音」(国書刊行会)読んでたらこんなコラムがでてきてビックリ。

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映画の中のレコード屋ベスト10

・「タクシードライバー」(76年米・マーティン・スコセッシ)

・「ディーバ」(81年仏・ジャン・ジャック・ベネックス)

・「風の歌を聴け」(81年ATG・大森一樹)村上春樹原作。これは観た。神戸の新興住宅地のレコ屋で真行寺君枝がバイトしてる。フラっと小林薫が入って、ビーチボーイズとかベートーヴェン第九とか3枚ぐらいサラっと買っていくのだった。子供心(高校ぐらいで観たけど)にレコードとはお目当てのレコードをなけなしのお小遣いで買う物と思っていたので驚いた。

・「女と男のいる舗道」(62年仏・ゴダール)

・「にっぽんのお婆ちゃん」(62年MIIプロ・今井正)って!左翼系映画の最右翼(どういうこと?)の監督作品にレコ屋が? どんなシーンだったのか?

・「時計じかけのオレンジ」(71年英・キューブリック)

・「ヘアスプレー」(87年米・ジョン・ウォーターズ)

・「非常線の女」(33年松竹蒲田・小津安二郎)って! 戦前の日本映画にレコ屋シーンだって?

・「スパイナル・タップ」(84年米・ロブ・ライナー)

・「エンパイア・レコード」(95年米・アラン・モイル)

というラインナップ。スゴイテーマ思いつくなあ。映画の中のライブシーンとかディスコシーンはザラにあるけど「映画の中のレコ屋」! あと、ボクの意見を付け加えると内田裕也主演「嗚呼!おんなたち猥歌」。

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この中のレコ屋店頭営業シーンは忘れられない。画像探したらありマシタ。

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無論、歌っているのはシェケナベイベー的な歌。しかし、誰も足を止めないのだった。商店街の感じもイイネ! あと井筒さんの名作「ガキ帝国」。この中で不良女子高生がレコード店でビートルズの新譜を万引きするシーンがある。まんまと成功するのだが、松本竜介演じるチャボが一部始終を見ていた。それをネタに強請るのかと思えば、ネタにデートに誘い出すというホノボノしたシーン。大阪ミナミが舞台のこの作品。ボクは千日前の古いCD屋で働いていたのだけど、あれはどこの店だったのか。あとレコ屋じゃないけど「仁義なき戦い」第一作の闇市のシーンで広能が蓄音機で浪曲聴くシーンがありますな。飲み屋で。「ワシはこれが好きなんじゃい」というシーンが好き。ホント、レコードのことを考えてると止まらないね。モチロン、音楽はiPodで聴いてるよ」

ミニトークその2

kenzee「レジーさんのブログで前回のウチの記事に登場するスムースエースにえらく反応している。ソリャ、オッチャン、スムースエース知ってますヨ! だって、昔山下達郎のラジオでかかったんだもん。無論、クリスマス・イブのカヴァーである。10年ぐらい前。その時達郎さんが仰っていたのは「ボクの一人アカペラは同じ人間の声を重ねているので本来は混ざらないんです。高周波変調といって、すぐピークレベルがくる。しかし彼らはみんな別人なのでよく混ざります」と。古今東西、カヴァー率異常に高い歌というものがあります。ボブ・ディラン「風に吹かれて」とかビートルズ「オブラディ・オブラダ」とかスティーヴィー・ワンダー「A Place in The Sun」とか。で、これらのカヴァーにありガチなのがオリジナルよりクドイ、やたら壮大なアレンジになっちゃうケースなのね。オリジナルよりシンプルになることは滅多にない。iTunesで「クリスマス・イブ」と検索するとさまざまなカヴァーバージョンを発見できるだろう。ケミストリーやBENIなどR&B歌手のカヴァーは想定済みだが、坂本冬美や弘田三枝子の打ち込みカヴァー、松崎しげるの暑苦しいカヴァーなど珍品もある。で、オリジナルのオケが割とシンプルな8ビートロックンロールなのをいいことにご多分に漏れず、トゥーマッチな解釈モノが多い。「クリスマス・イブ」のカヴァーで勝負が決まるのが例のダバダバ・コーラスをどう処理したか、だ。あの超絶一人アカペラはよく知られているようにパッヘルベルのカノンなのだが、あれはスウィングル・シンガーズのCDを参考にしている。いずれにしても真面目にコピーしても敵うものではない。となると別のやり口で逃げるしかないワケだが、その逃げ方でアレンジャーのセンスが試される。もっともガッカリなのはギターソロなど、楽器ソロで安直に逃げるパターン。またケミストリーのように下手なりにガンバってみました、系のものもつまらない。そこでスムース・エースである。

彼らのヴァージョンはまず、ピアノ一本とコーラスというオリジナルよりシンプルな編成という時点でかなりケンカ腰である。それでは間奏のダバダバの処理が気にかかるところだが誰もが「コリャ、一本取られたナ」と思うだろう、独自の歌詞による間奏。背後のダバダバも超絶テクなのに控えめだ。これは2002年のカヴァーだが、この頃ハモネプなどにわかにアカペラブームであった。そのブームからラグ・フェアなどの一発屋も登場した。ハモネプ系のアカペラとはヒューマンビートボックスに代表される器楽的なコーラスであった。そういうものは見世物としては確かに面白いのでテレビバラエティと相性が良かったのだろう。しかし、スムースエースのコーラスは決定的に声楽的コーラスなのだ。つまり、アーとかウーだけで説得力のある世界。「本当にいいコーラスっていうのは3コードでアー、ウーだけで充分に説得力を持つものなんだ」とは達郎さんの弁。ボクはあらゆるクリスマス・イブカヴァーの中でもこのスムース・エースのヴァージョンは最高峰だと考えている。このOther People's Choiceというカヴァーアルバムには槇原敬之さんの「もう恋なんてしない」も収録されているのだがその解説でヴォーカルの重住ひろこさんが「槇原さんは歌唱力界の東大・京大クラス」と書いていたのを思い出す」

司会者「人間、脳内バックアップだけでここまで再現できるものなのだね。そしてマラソンの続きだよ!」

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恒例の「コレが初回ジャケ?」

・5曲目「横顔」

kenzee「75年頃ならシュガーベイブがやっていただろう、ミドルテンポのメジャーセブンス系ポップス。こういうオハイオ・ノックスとかピーターゴールウェイといった名が浮かぶ東海岸系みたいな音楽はいくら聴いてもボク、飽きませんヨ。こういう「キラキラ」とか「横顔」みたいな音楽が好きな人に朗報! ワーナーの名盤探検隊シリーズがさらに廉価になってリマスターされて登場だ! たとえば「彼女」「秘密」のサウンドが好きで、「Jo Mama」や「Ned Dohiney」が嫌いという人がいるのか。ていうか4月14日のサンソンで達郎さんネッドドヒニーかけてたし。でもソレ!フリーソウルのコンピにも入ってる曲だよ! それ以外が聴きたかったなあ。木の温もりのロックンロール。(でもメジャーセブン)一枚1200円ですよ! あとベタだけどジャクソンブラウンとかね。聴いて損はナシ! 完全にワーナーの回し者だヨ!」

・7曲目「秘密」

kenzee「中盤のハイライトと言っていいタイトル曲。いきなりD♭からAに飛ぶ変態進行を含むにも関わらず、実に美しいバラード。aikoさんの曲、歌唱も素晴らしいが、やはりプレイヤー達の曲の解釈力、表現力あってのベストトラック。ボクは2000年代後半のaikoサウンドは佐野康夫ドラムに始まり佐野ドラムに終わると言っていいほど安定感と大らかさのあるドラム。結構手数、オカズの多いドラムにも関わらず飽くまで歌をヨイショし続ける職人魂。スティーブガットみたいなモンやね」

・8曲目「星電話」

kenzee「八神純子の歌でも始まるのかな、というくらい筒美京平調の半音マイナー進行で始まる8ビートロック。佐野さんのドラムもいつになくタムが多い。ギターも久しぶりに2本でディストーション。でもうるさくないんだ。これが2000年頃だったら、イケてないジュディマリみたいになってるとこだ。やっぱり安定のアンサンブルの勝利。一見さんの演奏ではないと誰が聴いてもわかる。「いーじわるなー」のところE♭→Am7-5と進行するところはボクの好きなローラースケートパーク進行。「ジェット」でも登場するヤツ」

・9曲目「恋道」

kenzee「久々の西海岸系オークランドファンク。8ビートのロックの次に16ビートのメジャーセブンス系のファンクがくるところが憎い。ていうか2008年に曲順に命賭けてるとこもスゴイ。ボクはこういうパターンミュージック(それぞれの楽器が別々のシンプルなパターンを提示し、複合でリズムを発生させるアレンジ手法。要するにジェームス・ブラウン)だったらなんでも好きなんだ。こういう曲を聴くとタワーオブパワーを連想せずにいられないのだけど、たとえば本物のタワーオブパワーに演奏を頼んだらどうなるだろう。たぶん、サンザンな結果に終わると思う。だって、このドン臭いリズムセクションだからaikoの歌は映えるのだ。その昔、つまり90年代初頭の話。ブレイク期のスマップのアルバムの演奏メンバーがバーナード・パーディーだったりオマー・ハキムだったりウィル・リーだったり、つまり本物のニューヨークのジャズのプレイヤーを使ったのが話題になったことがある。で、あの頃の音楽オタクみたいなキャツラは「ジャニーズとかJ-POPはクソ。ア、でもスマップだけは別(笑)」とかいうのがカッコいいという風潮があったのね。ウンコみたいな価値観である。ソリャ、スマップの「SMAP007~Gold Singer~」とかスゴイ音してますよ、本場のスムース・ジャズなんだから。しかし、果たしてスマップのメンバーにとって幸せなプロデューシングだったのか? 結局、Pの自己満足とジャパンマネーで買った音なのだ。「恋道」のドン臭さは世界でもこの、aikoリズムセクションでしか表現できないものなのだ」

昨日、ここまで書いた。

司会者「スゴイ、ほぼ再現できとる。人間の脳ってスゴイね」

kenzee「あと4曲は来週な! 松崎しげるのクリスマス・イブでも聴いて寝るワ! あと書いたデータは必ずバックアップとっておく。これ大事!」

PS…4月14日、aikoさんニューシングル「四月の雨」がiTunesほかで配信開始ですって! ま、コメントしないけどね。

さらにPS…「ハルとアキ」が抜けてる!という指摘がアリ、追記しますと……

「いつもの得意のハチロクのオールディーズ。左から聴こえるオシャレなエレピ。一昔前なら故・佐藤博さんが弾いてそうな鍵盤である。決して譜面通りに弾かなかったが、必ず要求水準を上回る回答だったという伝説のキーボーディスト。島田さんのプレイは佐藤博や中西康晴といった関西系のピアノマンを強く意識しているように聴こえるが、そこまで泥臭くなりきれないところが島田プレイの魅力なのか。「帽子と水着と水平線」以来のイントロRoland TR-808のチャカポコビートからスタートし、ストリングス、ホーンセクションまで加わる針小棒大なアレンジ。ミスチルならイラっとくるこの手のアイデアもaikoなら許せてしまう」

こんな感じ。

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コメント

こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいてます。
脳内バックアップ復元お疲れ様でした…

ひとつ気になったのですが、「秘密」と「星電話」の間にあります「ハルとアキ」が抜けています。
「曲順に命がけな」aikoですので(笑)ぜひとも、こちらも追加していただければ幸いです!

あ、ちなみに前編のジャケが初回ですね。

投稿: ハピこ | 2013年4月16日 (火) 07時45分

もう星電話の冒頭八神純子にしか聞こえなくなった!

投稿: | 2013年4月16日 (火) 08時02分

“「本当にいいコーラスっていうのは3コードでアー、ウーだけで充分に説得力を持つものなんだ」とは達郎さんの弁。”

これすごいですね!
ほんとその通りだと思います。
僕自身2000年から4年間学生アカペラやってまして、「ヒューマンビートボックスに代表される器楽的なコーラス」のシーンにどっぷり浸かってたのでいろいろと考えさせられます。
スムースエースほんと再評価されないかなー

投稿: レジー | 2013年4月16日 (火) 21時08分

ア! ホントだ!「ハルとアキ」抜かしてる!
言われるまで気がつかなかった! 消失したオリジナル版では書いてたのに! 人間の記憶なんていい加減なモンだね。ソリャ、冤罪事件とか起こるワ。本文に追記しました。

投稿: kenzee | 2013年4月16日 (火) 21時43分

レジーさん。

あの時代のアカペラ学生だったのか! なんでも聞いてみないとワカランなあ。あの時代のアカペラ、要はラグ・フェアとかが何をイメージしていたのかな、と考えるとたぶんTAKE5なんだろうけど、99年にでた達郎さんのオンスト3はあのブームから颯爽と逆行する地味な世界だった。もうちょっと正確な発言を拾うとこんな感じ。「(アカペラにとって)最も重要なのはリード・ヴォーカルで、僕にとってバック・コーラスはシンプルなアーとかウーで別にいいんだよ。後ろのア・カペラの構築にばかり気を取られてるアレンジが多いけど僕にとって一番大事なのはメイン・ヴォーカルなんだ。(中略)コーラスって複雑なヴォイシングでワーっとでてきてハモったときに最初はすげえな、と思うけど僕の場合はそれよりプリミティブな3パートのコーラスの方が好きなの。TAKE5は器楽的で、器楽的な声楽は面白くないんだ。(TATSUROMANIA No.32 1999Winter)

投稿: kenzee | 2013年4月16日 (火) 22時19分

そういえばビーチボーイズもヴォイシングがキチガイなだけでやってることは基本、アー、ウー、ワーの世界なんだよな。ボクも昔、4トラのカセットテープのMTR買ってきて、オンストのマネしようと思って風呂場でアーとかウーとかやってたら親に怒られたよ! きっと近所の人も「ケンジくん、とうとうオカシくなったのね…」とか噂あれてたハズだよ!

投稿: kenzee | 2013年4月16日 (火) 22時31分

いつもありがとうございます。

そんな、ハルとアキは
何故かライブで未披露なんです。

aikoのライブはホーン隊が
ライブ中、常駐しておらず
出たり出なかったりなので
こういったホーンセクションのある曲は
ホーン隊の仕事を確保する為にも
セトリには入れやすいかと思うのですが
どうお考えでしょうか…?(笑)

投稿: りょーくん | 2013年4月17日 (水) 10時14分

ホーンセクションは出るなら徹頭徹尾いないとマヌケなんですよね。で、3管だとステージ上も結構なスペースになるし。なにもしてないとなんか緊張感が削がれるし。小沢健二さんはアレンジごとやり直してスカパラのメンバーが常駐できるように構成した。山下達郎さんはライブに管は入れないと公言している。難しいね。

投稿: kenzee | 2013年4月18日 (木) 00時42分

どうもはじめまして。aikoファンではない方がここまでaikoについて文字をかかれていて驚きです。
わたしはaikoほどもっと評価されるべき、って人はいないんじゃないかと思っています。
aikoのキャラである親しみやすさがaikoのすごさを消してしまってる気がするんです。でもそういうaikoだからもっともっと好きになるんですが。
名前ほど世間は曲を知らないんですよ。それなのにaikoっていう代名詞を使いすぎてると思います。初期のkenzeeさんのことでもありますが。
アルバムを全部聴いた上でaikoのことをどう捉えるのか、これは悪い意見でも良い意見でもしっかり見て噛み砕させて頂きたいです。
最新アルバムである時のシルエットにはやくいってほしいです。更新とても楽しみにしてます。

投稿: aiko好きの通りすがりです。 | 2013年4月19日 (金) 04時22分

映画の中のレコード屋といえばISSA主演のドリームメーカーが…あえてここにこっそり書いときます…

投稿: 紅 | 2019年9月29日 (日) 15時03分

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