« 関西ソーカルの歌詞トークからやっぱり韻について考えた | トップページ

部屋とYシャツとAV(90年代私的AV史)

kenzee「レジーさんがnoteでやっている90年代の私的音楽史がめっぽう評判だ」

司会者「「レジーが観た90年代プロジェクト・エッセイ部屋とYシャツと90年代」40000字エッセイ(有料)ですな」

kenzee「レジーさんのような、結構もう名前のある音楽ライターの人なのにとても素直なタイトル、アーティストばかりが登場する。これはとても挑戦的なエッセイだと思うのだ。たとえば従来的な90年代J-POP語りなら絶対外すことのないコーネリアス、電気グルーヴの名が登場しない。だから無論、ECDや藤原ヒロシや高木完なども登場しない。キングギドラやブッダもだ。しかし、ドラゴンアッシュは最重要バンドなのだ。でも、この時代の郊外育ちの少年が正直に語るとこうなるはずなのだ。ビーイングのアーティスト名まででてくるのは衝撃的だ。そんな誰も彼もがギドラやブッダやペイジャーにガツンとヤラれたわけはないのだ。最初にグリーンデイでスタートした例は稀なはずだ。最初はドラゴンアッシュ、そしてハイスタだろう。それでいいじゃないか。正直で。昔、達郎大滝の新春放談(これも90年代だったと思う)で達郎「最近の若手のロック歌手ときたら、影響を受けた音楽で60年代のマイナーなバンド名を挙げるのがオオハヤリだが、嘘ツケって言うの。今の20代がみんなツエッペリンとかドアーズのわけないジャン。なんで素直にオフコースとかRCとか言わないのかねえ」大滝「ボクは素直に小林旭とクレイジーって言ってますからね」達郎「ボクだって三波春夫って正直に言ってますよ」と憤っていたのだ。ボクもアレですよ、渡辺美里とか小室の話しますからね」

司会者「で、そうやってレジーさんを持ち上げといてAVの話するんでしょ?」

kenzee「この前こんなサイトを見つけたのだ。お宝プレミアアダルトビデオ館。80年代~90年代にかけて大量生産され、レンタルビデオ屋の棚に鎮座ましましていたビデオのAVたち。このサイトでは今より明らかにお金をかけて製作されていたAVたちが当時のレンタルビデオの状態で大量にストックされている。で、このサイトのスゴイところは女優名のみならずメーカー名でも検索できるところで、しかも検索すると年代順に羅列されるのだ。単なる通販業者で終わらない一種の歴史化が行われているのだ。どんだけ手間かかってるんだろう。で、懐かしい懐かしいとか言いながら検索しているうちに大変なことに気づいてしまったのだ。それは「ジャケを見ただけで「当時借りたことあるタイトル」と「結局、借りなかったタイトル」が明確に今でも判別できるということだ。男性の(30代~40代の)読者の皆さんも試してみてください。かなりの精度で「ア、オレこれ絶対観た!しかしコレは確実に観てない」ってなるはずだから」

司会者「観たから憶えてるんじゃないの?」

kenzee「イヤ、映画のビデオなんて観たことあっても20年以上も前となると結構記憶もアヤフヤだが、AVに関してはかなりちゃんと憶えてるのだ。それもパッケージ自体、20年ぶりに見るようなものばかりなのに。それが・・・男というものなのだろうか・・・。もっと言うと、90年代にはどこの駅前にも雨後のタケノコのようにポコポコあった、そんな個人営業のレンタルビデオ屋のアダルトコーナーの風景までセットで脳裏に蘇ってくるのだ。そういうビデオ屋は大抵雑居ビルの一室でやっていて、昼間でも薄暗くて、黴臭くて、禁煙のはずなのにどういうわけかタバコ臭いのだった。BGMも本来は有線のJ-POPなどをかけないといけないのだろうが、店番の店員の趣味で勝手にメタリカだったりするのだった。しかし、当時20代で一応若者だったボクはナゼかそういうグズグズのビデオ屋にいると異常に落ち着くのだった。ツタヤじゃない、ツタヤじゃないんだ・・・」

司会者「新曲? ソレ」

kenzee「そんなAVコーナーにはオイラみたいなテンプラ学生もいればナゼかスーツ姿の営業マン風のオヤジが数十分パッケージを眺め回していることもあった。しかし。AVコーナーにおいて人は皆、紳士なのだった。そんな古きよき90年代のノンキなビデオ屋の風景を思い出していたらもひとつ気づいたことがあって、ボクが当時、借りていたビデオのパッケージデザインってどうも同じ人が手掛けてるようなのね。こんなデザインなのよ」

Ayase95

 Chiyuri94

Kasiwagi98

 Mina98


Nakahara95 

Nakahara952

司会者「要するにキミ、ロリ系だったんだな」

kenzee「共通したテイストがあるのがおわかりいただけるだろうか。このデザイナーが得意とするのはいわゆるロリ系とかお菓子系とかいわれるタイプの女優のようだが、字のフォントに特徴がある。タイトル文字や女優名は頑なに明朝体なのだ。それも今や使われなくなったような昔の教科書とかにでてくるような硬いフォントだ。エヴァの影響か?とか思うが、彼のAVデザインはエヴァより数年早い。また、「女学生通信」シリーズに顕著なのが英文でゴチャゴチャ、コピーがあるところだ。なにかCCCPというか渋谷系的な背景も感じさせる。

Jogaku1 

Jogaku2


Jogaku913

 Jogaku924

このデザイナーの最高傑作は「中原美佑・全身痙攣」だろう。赤系でまとめたストレートなデザインの中に得意の明朝体で「全身痙攣 中原美佑」と8文字の並びが最高だ。そして英文のコピーや日本語のキャッチの配列が見事だ。ボクは美術やデザインについては門外漢だが、素人のボクでもわかる。この人のデザインはAVなのにひとつのポップアートとして成立している。言い方を変えれば「たかがAVごときにナゼ、そこまで」と言われても仕方ないほどの完成度だ。しかし、「全身痙攣」クラスの傑作は探せばまだあるかも知れない。かえすがえすも残念なのはこのデザイナーが何者なのか、パッケージ画像をいくら拡大してもわからないことだ。「女学生通信」シリーズ、「柏木綾・れもん白書」「松田ちゆり・アリス発熱」「彩瀬みく・悪戯ざかり」「河合美奈・純露ロマンス」などどう考えても同一人物の手によるデザインだ。宇宙企画の作品が多いのでてっきり宇宙企画専属のデザイナーなのかな?とか思ったが別のメーカーでもこの人らしきパッケージを発見できるのでフリーのデザイナーだったのだろうか。ボクの観測範囲では1992年頃から1999年あたりまで、VHSビデオのパッケージデザインを手掛けていたようだ。2000年代に入り、AVがDVDにメディアが変わり、そしてインディーメーカーと企画単体女優の時代の到来とともにこのデザイナーの作品を見なくなる。確かにこのデザイナーの真価は、VHSのあのサイズのなかで生きる資質なのだ。DVDでは生きない。このデザイナーの功績は「AVデザインを「タダのインパクト勝負のエロ実話誌レベルのやっつけ仕事」から「鑑賞に耐える、また90年代的なオタク感覚を取り込んだもの」に昇華した点にある。従来のもののようないかにも胡散臭い、暴力団の会社と水商売の女優が作っているような雰囲気をぶち壊し、ウソでも「その辺の学生さん」のような雰囲気をデザインの面から演出した点にあると思う。そして「女学生通信」「全身痙攣」に見られるような「作品」の意識をもって取り組んでいたことにつきる。ボクは今、猛烈にこのデザイナーのことが知りたい。もしかしたら画集とか作品集のようなものがあるのだろうか。この広いネット業界、どんな細かいことでもいいので教えて欲しいのだ。そしてボクはこのデザイナーに伝えたい。「女学生通信」シリーズのデザインは四半世紀も前のAVなのにまったく古びていない、むしろイマドキの女子高生モノより淫靡でイヤラしい。時代を越えた、愛のあるデザインだと。メジャー作品なのに強く手作り感を感じさせるものだったと。今のAVからはこのような手作り感が消失してしまった。今考えると、全然自分の趣味じゃない女優(松田ちゆりとか)をナゼ借りたんだろうと考えるとこのデザイナーのデザインに惹かれていたのだった」

司会者「レジーさんの力作がAV話のネタフリになってしまいマシタ!」

kenzee「以上、90年代、私的AV史。バクシーシ山下も平野勝之もカンパニー松尾も登場しない、超個人的AV史でした」

|
|

« 関西ソーカルの歌詞トークからやっぱり韻について考えた | トップページ

コメント

大好きだったこのブログ、徐々に関心が薄れてきていたのですが久々にキタ!!いや記事のタイトル見た時はここまで堕ちたか・・と思ったのですが裏切られました笑
既に評価されている物をネタに、自分語りや知識自慢に評論はなってしまいがちですが、この記事はそれとは違います。結果的にどんな評論よりも個性や時代が、知識と審美眼の蓄積が伝わってきますし、何よりとても大切な視点を思い出させてくれたように思います。いやエロとかロリのことではなく・・

投稿: 一読者 | 2016年12月 4日 (日) 12時06分

アハハー! AV話のときは誰も反応してくれないモンで。アリガトウ!

投稿: kenzee | 2016年12月 4日 (日) 21時24分

自分とレジーさん、ほぼ同じ歳なんで目次見ただけでなんかもう懐かしいし、50枚リストなんてほぼ全部聴いてた(そしてけっこう持ってる)事実にビックリ…。
そんなに音楽聴かないタイプと思ってたけど塵も積もれば何とやらですね。
ただ渋谷系後追いなんでそこは少し違いますけど。Chappieの豪華作家陣に今更驚いてましたし。
(当時「H」の読者でCD発売日買いしてた奴)
そういやクラスメイト、みんなパーフリどころかピチカートもオザケンも知らなかったんで当時の10代にとっての渋谷系なんてそんなもんだったのです。
もうひとりほぼ同じ歳で、レビューサイト(Beautiful Dreamer)で有名なmomaさんという方がいますがこの方も膨大なレビューを書いているけど(2013年まで書いていた、複数商法の内容まで詳細に調べ上げたオリコンチャートレビューは必見。音楽感想のリンクにあります)やはり「あるある!」と言いたくなるような音楽体験してたので世代で共有できるものというのはデカい。
年の差婚する人ってどうやってこの差を埋めるのかな?

投稿: 紅 | 2017年2月14日 (火) 19時39分

紅さんアハハー! ボク、レジーさんじゃないヨ! kenzeeだよ‼ でもレジーさんの2016年のセレクトはスゴいよネ! 森山直太朗新譜とかちゃんと聴いてるトカ。ボクも今年はもっと新譜を聴くようにします。。。

投稿: kenzee | 2017年2月14日 (火) 22時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/185233/68611728

この記事へのトラックバック一覧です: 部屋とYシャツとAV(90年代私的AV史):

« 関西ソーカルの歌詞トークからやっぱり韻について考えた | トップページ