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私たちが「ジャンル」と呼んでいるものの多くは「先入観」である、という話。(コーネリアスマラソンその4)


司会者「コーネリアスマラソンその4です」

keznee「今回はアルバム6曲目、「Cannabis」からです。反応が薄いのでザクザクいきます」

 https://youtu.be/0evbtYPGG64

kenzee「全編にシタールがビヨンビヨン鳴り続けるラーガロック。60年代後半にビートルズ周辺で流行ったインド風のロック。サウンド的にはデイヴ・パイク「Mather」などのベタなシタールのロックを参考にしたに違いない」


 https://youtu.be/kO2icPddH5g

kenzee「で、よくこの曲の元ネタはキャロル・キングが在籍していたThe Cityの「Snow Queen('69)」だなどという指摘があるがこれも典型的な「そう言われてみれば似てるな」の消極的引用で別にパクリというほどのものではない。では当時の小山田さんの脳内ではこの曲の企画はどういうプロセスで進んでいったのだろうか。たぶんこういう流れ」


 オイラ、元々変な形をしたギターが好き。「カメラ・トーク」期のアー写でオナジミのグレッチのランチャーファルコン(オレンジで三角のサウンドホールのエドヴィン・コリンズのサイン入ってるヤツ、後に福山雅治さんも使用)とか69/96期のフライングVとか「Perfect Rainbow」のPV(北海道の牧場ロケ)で使用したドブロギターとか、音質とかともかくオモチャみたいな要素のある楽器が好き。(テルミンとか)そこでオイラが目をつけたのがエレキシタールなのでアール。なんと、エレキシタールはフリッパーズのファースト「海へ行くつもりじゃなかった」ですでに弾いている。「海へ~」最後のクレジットの欄にご丁寧に小沢・小山田氏が何の楽器を使用したかの記載がある。このなかの小山田使用楽器にCoral Guitar Sitarとある。(小沢氏にはない)

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おそらくこのフリッパーファーストで小山田さんがシタールを弾いたのは「Exotic Lolipop」であろう。(ほかにシタール使用の楽曲はないので)このようにオイラ、もともとシタール好きなのでアール。シタールに限らず、変な形の楽器が好き。そういえば小沢ってグレッチテネシアンとか赤のフェンダーテレキャスターとかガットギターとかオーセンティックないかにも「音にこだわってます」的なな楽器が好きだよな、ツマラン。アイツはツマラン男だよ。そこでシタール主体のラーガロックの曲をやってみよう。となるとサウンド的にはデイヴパイク的なラーガ・ジャズ・ロックって感じかな・・・

というような思考をめぐらされたに違いない。この曲はライヴビデオ「Love Heavymetal Style Music Vision」の中でも披露されている曲だが曲間でティトプエンテの「Oye Como Va」を挟んだメドレーとなっている。「オイェコモヴァ、テキ~ヨ~ペゴパゴサ、」と歌い始めるのだ。この時代にサルサのカヴァーなんて進んでるナーと思ったらビックリ! コーネリアスより2年も早くこの曲をカヴァーしてる日本人アーティストがいた!森高千里である「古今東西('92)」に収録されている。タダのカヴァーである。どういう文脈でこの曲をやろうとしたのかわからん。森高さんが単に好きなのか?サブスクで簡単に聴くことができる」

司会者「aikoマラソンの時同様、だんだんコーネリアスから話が脱線していくフェーズに突入しました」

kenzee「アルバム7曲目「Raise Your Hand Together」

 https://youtu.be/mhzPAkBGqw0

93年9月1日に「太陽は僕の敵」でデビューした直後の9月10日にマキシシングルとして発表されたもの。ハッキリとジャミロクワイ「Blow Your Mind('92)」のサウンドを取り入れようとした確信犯の曲。

 https://youtu.be/MVTkbCCl3-I

ジャミロクワイのこの曲は初期の曲だがいかにもアシッドジャズ、クラブ映えするファンクサウンド。「トゥットゥッナ、トゥットゥナ、」のスキャットもしっかり写し取っている。90年代のジャミロクワイの存在感というのをどう説明したらいいだろう。有無を言わせぬカッコよさがあったのである。どんなに音楽に無知な大学生でもコレかけておけばバカにはされないで済む、というような安パイ感、とでも言うか。「つってもジャミロクワイって渋谷系だろ?」と思ってるキミはこれを聞いて「ジャンルとはなにか」というテーマを一度、考えてみたまえ。TSUNKUソロシングル「Touch Me」カップリングの4曲目「Touch Me#4」

 https://youtu.be/ZDHdwWv6ZOY

ハッキリ言おう。「ジャミロクワイモノまね合戦」という視点から見るとコーネリアス「Raise Your Hand Together」はTSUNKU「Touch Me#4」('99)(編曲、河野伸)に負けている。サウンドの完成度もさることながらつんく氏のジャミロクワイ理解があまりに秀逸なのである。実際のジャミロクワイ(ジェイ・ケイ)はコンシャスな考えの持ち主で環境保護とか真剣に考えているタイプのミュージシャンなのだがつんく曲はそういった背景を一切無視し、フェイク混じりのわりといい加減な歌唱で「いい加減な人間関係や恋愛模様を語る音楽」と理解したのである。引き換え、小山田さんはマジメにサウンドを引き写し、「現代社会における若者を取り巻く思想や言説に簡単に自分は簡単に染まらない、この情報過多な世の中をそのまま受け止める所存である」というようなマジメな歌詞を載せてしまう。また、詞作にまだ慣れていないと思われる時期で「このサウンドにその言葉か?」となる場面も多々ある。シングル収録の別ミックス「320Right Mix」はもっとリズムを強調したよりファンクなヴァージョンで音はカッコいいのだが結果、多弁な歌詞がよけいにうるさく聴こえる、という陥穽に陥ってしまう」

司会者「つんくのほうがより洋楽志向だったというパラドックス」

kenzee「ただし小山田さんはこの後、短期間で詞作についてはだいぶ改善していくことになる。この時の「日本語との苦闘」が「SENSUOUS」~「デザイン あ」以降の日本語の言葉に生きているのではないか、というのがボクの「コーネリアス詞」観」

司会者「順調に行っているのかな? 次は8曲目「The Back Door to Heaven」からだね」


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